生活防衛費とは?
「生活防衛費」とは、収入が途絶えたときに、最低限の生活を守るために備えておくお金のことです。
病気やケガ、会社の倒産、仕事の減少など、思いがけないトラブルは誰にでも起こり得ます。そんなときに生活防衛費があれば、焦って借金したり、資産を安く手放したりせずに、冷静に次の行動を選ぶことができます。
つまり、生活防衛費は「人生のセーフティネット」といえる存在です。
生活防衛費はいくら必要?目安額を解説
会社員の場合
会社員は給与が安定しているうえ、雇用保険や傷病手当金などの制度も整っています。そのため必要額の目安は比較的少なめで済みます。
目安額:生活費の3〜6ヶ月分
例:毎月の生活費が25万円 → 75万〜150万円が目安
自営業・フリーランスの場合
自営業やフリーランスは収入が不安定で、会社員に比べて社会保障も限定的です。売上が減ったり、取引先が途絶えたりしてもすぐに補助があるわけではありません。
目安額:生活費の6〜12ヶ月分
例:毎月の生活費が30万円 → 180万〜360万円が目安
大きな額に感じますが、事業に安心して取り組むためには必要な備えです。
実体験から考える生活防衛費の大切さ
私自身、過去に1ヶ月間休職したことがあります。
その時は独身で生活費もさほど掛からず、貯金もある程度あったため、お金の心配はほとんどありませんでした。
しかし、今は家族がいて住宅ローンもあります。もし同じように休むことになれば、
- 「体を休めないといけない」
- 「でも働かないとお金がない」
という板挟みの状況に追い込まれるでしょう。
この経験からも、生活防衛費を準備しておくことは「お金の安心」と「心の余裕」につながると強く感じています。
生活防衛費と貯金を分ける理由
生活防衛費と一般的な貯金は目的が違います。
- 貯金:旅行、教育費、家電購入など「予定している支出」のためのお金
- 生活防衛費:収入が途絶えたときに「生活を守るため」にすぐ使うお金
混ぜて管理すると、
- 旅行や大きな買い物で使ってしまい、不足する
- どのくらい備えがあるか把握できない
といったリスクがあります。だからこそ、生活防衛費は別口座で管理することが安心につながります。
生活防衛費を置くのに適した場所・不向きな場所
適した場所(おすすめ)
- 普通預金口座(すぐ引き出せる)
- ネット銀行の普通預金
不向きな場所(NG例)
- 定期預金:途中解約が手間・利息がほぼつかない
- 株式・投資信託:値下がりリスクがある
- 積立保険:途中解約で元本割れしやすい
生活防衛費は「安全性」と「流動性」が最優先。増やすことよりも「必要なときに確実にある」ことが大事です。
生活防衛費は最優先。ただし投資と並行もアリ
資産形成を考える人にとって、生活防衛費を貯めるのに数年かかると「投資を始めるのが遅れるのでは?」と心配になるかもしれません。
優先する理由
- 生活防衛費がなければ、投資が値下がりしたときに「生活費のために売らざるを得ない」状況になりやすい
- これでは投資の意味がなく、損失を確定させてしまう
だからこそ、まず生活防衛費を優先するのが基本です。
並行するのもアリな理由
- 生活防衛費を完全に貯めるまでに数年かかる場合、その間に投資の「長期保有」の時間を失ってしまう
- 少額でも投資を始めておくことで「分散・長期投資」に早めに慣れられる
- 例:月100円や1,000円から投資信託に積み立てて、投資の感覚を掴む
つまり、「生活防衛費を軸にしつつ、少額で投資経験を積む」というバランスが現実的でおすすめです。
まとめ
- 生活防衛費は人生のセーフティネット
- 会社員は生活費の3〜6ヶ月分、自営業は6〜12ヶ月分が目安
- 普通の貯金とは目的が違うため、別口座で管理する
- 置き場所は普通預金がベスト。定期預金・株・保険は不向き
- 生活防衛費は最優先。ただし少額の投資と並行すれば「長期投資の時間」も確保できる
生活防衛費があるだけで「もしものときでも大丈夫」という安心感が得られます。その安心があるからこそ、投資や資産形成も落ち着いて続けられるのです。